預貯金差押さえのための条件

預貯金

 

元夫の給料差押さえが何らかの事情によって不首尾に終わった場合、次に差押さえの対象となるのが銀行に預けられている元夫の預貯金です。
ただし、現状では銀行預金を差し押さえするためには、元妻側が銀行名はもちろん取扱店舗を支店名で特定しなければなりません。店舗を支店名で特定しない預金債権差押さえ申立てについては、差押さえ債権の特定を欠くものとして、申立てが却下されてしまいます。

 

現実問題として、どこの銀行のどこの支店に口座を持っているかを詳細に知っている元妻は多くないと思いますし、意図的に知らせていなかった元夫も多いと思いはずです。
さらに、離婚後は新たに銀行口座を開設することもできますし、住所地や勤務先から離れたところにある銀行の支店に口座を開くことも可能。さらに、ネット銀行を利用して銀行口座を開くことも簡単にできるわけです。

 

要は、元夫としては離婚後にいくつかの銀行を使い分け、預貯金の分散やここぞという口座へ多くの預貯金を預けておくことができ、預貯金の差し押さえリスクを減免することができてしいまいます。

 

一市民である元妻が、銀行に対して元夫名義の預金口座や支店名を明らかにしてほしいと訴えても、銀行から相手にされません。
そこで、弁護士さんの登場です。弁護士さんは、弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会の制度を利用することができ、官公庁や企業、事業所などに事実を問い合わせることができます。
この制度を使って、銀行に対し銀行預金口座の有無や支店名、残高の有無などを照会し、養育費の不払いや未払い分を払わせる預貯金の差押さえに利用するというわけです。

 

ただし、弁護士会照会には法的強制力はないことから、照会に対して個人情報保護法を建前にして、回答を拒否する銀行が少なくありません。
そこで、法務省では民事執行法を改正し、裁判所が金融機関に口座情報を照会して回答させる仕組みの導入について前向きな検討を始めました。この改正が成立すると、金融機関には明確な回答が義務付けられるため、これまでのように守秘義務などを理由に開示を拒むことができなくなります。

 

また、法改正が実現すれば、強制執行による養育費回収の可能性が高まるだけでなく、預金の差押えを恐れた債務者が任意に養育費の支払いに応じることも期待できます。

 

いずれにしても、元夫側の預貯金の差押さえ執行は、給料の差押さえよりも煩雑な手続きを踏む必要があります。そういう意味でも、養育費の不払い・未払いに強い弁護士へ相談することをおすすめします。